因数分解が苦手な人でも分かる!公式とやり方を基礎から解説
「公式は覚えたはずなのに、いざ問題を解こうとすると手が止まってしまう…」 そんな経験はありませんか?因数分解は、中学数学のなかでも苦手意識を持つ人が多い単元のひとつです。式の形を見ても、どの公式を使えばよいのか迷ってしまうのは、決してあなただけではありません。 本記事では、因数分解の基本から公式の使い分け、よくあるミスへの対処法、さらに高校数学のたすき掛けまでを解説します。読み終えるころには、「どこから手をつければいいか」が自然と分かるようになっているはずです。
因数分解とは何か?まずは基本を押さえよう
因数分解を理解するためには、まず言葉の意味と、関連する概念を正確に把握することが大切です。
このセクションでは、以下の3つについて解説します。
- 因数とは何かを言葉の意味から理解する
- 因数分解と展開の関係を「逆の操作」で理解する
- なぜ因数分解を学ぶのか、先の数学につながる理由を知る
「なんとなく覚えた」ではなく、「なぜそうなるのか」から理解することが、応用力につながります。
因数とは何か?

因数とは、式や数をかけ算の形に分けたときに現れる一つ一つの要素を指します。
たとえば、6という数字は「2×3」と表すことができます。このとき、2と3はどちらも6の因数です。
文字を使った式でも同じように考えられます。
たとえば「x²-x」という式は「x(x-1)」と表すことができるため、xとx-1はどちらもx²-xの因数です。
因数という言葉は、「式を構成するかけ算のパーツ」と理解しておくとよいでしょう。
因数分解と展開はどんな関係?

因数分解を理解するには、展開とのつながりを押さえることが重要です。展開とは、かけ算で表された式を、たし算やひき算の形に直すことを指します。因数分解はその逆で、たし算・ひき算が混ざった式をかけ算の形に変形する操作です。
たとえば「(x+2)(x+3)」を展開すると「x²+5x+6」になります。逆に「x²+5x+6」を因数分解すると「(x+2)(x+3)」に戻ります。
展開と因数分解は、式の「行き来」だと考えると整理しやすくなります。
なぜ因数分解を学ぶのか?先の数学につながる理由
「式の形を変えるだけなのに、なぜわざわざ学ぶの?」と感じる人もいるかもしれません。因数分解を学ぶ最大の理由は、二次方程式を解くためです。
たとえば「x²+5x+6=0」という二次方程式は、そのままでは解くのが難しいですが、因数分解すると「(x+2)(x+3)=0」となります。かけ算の結果が0になるためには、どちらかの因数が0でなければなりません。そこから「x=-2」または「x=-3」と求めることができます。
さらに因数分解は、高校数学のさまざまな場面でも登場します。二次関数のグラフの形を調べるときや、高次方程式を解くときなど、今後の学習を支える土台となる重要な技術です。
因数分解の基本的なやり方|まずは「共通因数でくくる」を覚えよう
因数分解の解き方には大きく2つのアプローチがあります。まずは最も基本となる「共通因数でくくる」方法から押さえていきましょう。
このセクションでは以下の3点を解説します。
- 共通因数とは何かと見つけ方のコツ
- 共通因数を使った因数分解の手順と例題
- 共通因数を見落としやすい場面とチェックポイント
計算に入る前に、共通因数があるかを確認する習慣をつけることが重要です。
共通因数とは?見つけ方のコツを解説
共通因数とは、式のすべての項に共通してかけられている数や文字のことです。
たとえば「4x+8」という式では、4xの因数は「4とx」、8の因数は「4と2」です。両方の項に共通しているのは「4」なので、4が共通因数になります。
共通因数を見つけるコツは、各項の係数(数字の部分)の最大公約数を求めることと、すべての項に含まれる文字を探すことです。
共通因数を使った因数分解の手順と例題
共通因数を使った因数分解は、次の2ステップで進めます。
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具体的な例で確認しましょう。
「6x²+9x」を因数分解します。6x²の因数は「2・3・x・x」、9xの因数は「3・3・x」です。共通しているのは「3x」なので、3xを前に出すと「3x(2x+3)」となります。かっこの中に共通因数を戻して展開すると元の式に戻ることも確認しておきましょう。
このときに使われているのが分配法則で、「a(b+c)=ab+ac」という計算ルールに基づいています。
共通因数を見落としやすい!チェックすべきポイント
因数分解でありがちな誤りの一つは、公式にすぐ頼ろうとして共通因数を見逃してしまうことです。
たとえば「2x²+4x+2」は、共通因数2をくくり出すと「2(x²+2x+1)」となり、さらに「2(x+1)²」と因数分解できます。先に共通因数を処理せずに公式に当てはめようとすると、計算が複雑になったり、最終的に間違えたりする原因になります。
因数分解を始める前に、「まず共通因数はないか?」と確認することを習慣にしましょう。
因数分解の公式一覧|4つの公式の使い方と見分け方

共通因数でまとめられないときは、公式を用いて因数分解を行います。
中学数学で覚えるべき公式は4つです。
- 公式① x²+(a+b)x+ab=(x+a)(x+b) の使い方
- 公式② x²+2ax+a²=(x+a)² の使い方(和の完全平方)
- 公式③ x²-2ax+a²=(x-a)² の使い方(差の完全平方)
- 公式④ x²-a²=(x+a)(x-a) の使い方(平方の差)
どの公式を使う?式を見たときの判断フロー
公式は丸暗記するだけでなく、「どんな式のときに使うか」という感覚とセットで身につけることが重要です。
公式①:x²+(a+b)x+ab=(x+a)(x+b)
この公式は、x²の係数が1で、定数項(数字だけの項)があるときに使います。考え方は、「積が ab になり、和が a+b となる2つの数を探す」ことです。
例:x²+5x+6 を因数分解する。かけて6、たして5になる2つの数は2と3です。よって「(x+2)(x+3)」となります。
符号が混在する場合(たとえばx²-x-6)は、かけて-6、たして-1になる組み合わせを探します。2と-3の組み合わせが当てはまるので「(x+2)(x-3)」となります。
公式②:x²+2ax+a²=(x+a)²
この公式は「完全平方式」と呼ばれ、ある式を2乗した形に因数分解できるときに使います。
見分けるポイントは「定数項が平方数(1、4、9、16…)になっているか」と「x の係数がその平方根の2倍になっているか」を確認することです。
例:x²+6x+9 を因数分解する。定数項9の平方根は±3です。x の係数+6は+3の2倍(+3×2)になっています。よって公式②が使え、「(x+3)²」となります。
公式③:x²-2ax+a²=(x-a)²
公式②とほぼ同じ構造ですが、x の係数がマイナスになっている点が違います。定数項がプラスで、x の係数がマイナスのときに公式③を使います。
例:x²-8x+16 を因数分解する。定数項16の平方根は±4です。x の係数-8は-4の2倍((ー4)×2)になっています。よって「(x-4)²」となります。
公式②と③は、x の係数の符号だけが異なるため、符号のミスが起きやすいので注意しましょう。
公式④:x²-a²=(x+a)(x-a)
この公式は「2乗の差」の形のときに使います。x²から別の2乗の数を引いている式を見たら、まずこの公式を疑いましょう。
例:x²-25 を因数分解する。25は5²なので、「(x+5)(x-5)」となります。定数項がマイナスで、かつx の係数(1次の項)がない式を見たら、公式④の出番です。
注意点として、x²+a²のようにプラスの場合は因数分解できないため、マイナスになっているかをしっかり確認しましょう。
4つの公式を覚えても、どれを使うか迷ってしまうことがあります。そんなときは以下の順番で式を確認してみてください。
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どの公式を使うかを「パターンで覚える」のではなく、「式の特徴で判断する」感覚を大切にしましょう。
因数分解でよくあるミスと対処法
因数分解は、解き方の流れを理解していても、細かいところでミスが起きやすい分野です。
「なぜか答えが合わない」と感じたときは、以下の3つのポイントを確認してみましょう。
- 符号のミスに注意する
- 共通因数のくくり忘れを防ぐ
- 「これ以上分解できない」まで続けることを意識する
ミスのパターンを事前に知っておくだけで、見直しの精度が格段に上がります。
符号を間違えやすい!マイナスの扱いに注意しよう
因数分解で最も多いミスが符号の間違いです。
特に公式①を使うとき、定数項がマイナスの場合は2つの数の符号が異なります。
たとえば「x²-3x-10」を因数分解するときは、かけて-10になる組み合わせを探すため、「2と-5」または「-2と5」のように符号が逆になる組み合わせを考えます。
公式②と③の使い分けでも符号のミスが起きやすいです。
答えを出したら展開して元の式に戻るかどうかを確認する習慣をつけると、ケアレスミスを大幅に減らすことができます。
共通因数を先にくくり忘れていないか確認しよう
「共通因数でくくる」ステップを飛ばして公式に当てはめようとすることも、よくある失敗のひとつです。
たとえば「3x²+6x+3」を因数分解するとき、いきなり公式を当てはめても複雑になります。まず共通因数の3をくくり出して「3(x²+2x+1)」とすると、かっこの中は公式②で「3(x+1)²」と簡単に解けます。
因数分解を始めるときは「まず全体に共通因数はないか?」を必ず最初に確認してください。
因数分解を「これ以上分解できない」まで続ける
因数分解が完成したように見えても、実はまだ分解できる場合があります。
たとえば「4x²-16」を因数分解するとき、共通因数4をくくると「4(x²-4)」となりますが、かっこの中の「x²-4」はさらに公式④で「(x+2)(x-2)」と分解できます。最終的な答えは「4(x+2)(x-2)」です。
「これ以上分解できるかどうか」を確認するには、かっこの中の式に対してもう一度公式が使えないかを試してみましょう。かっこの中がそれ以上かけ算の形に分解できない状態になって、初めて因数分解の完成です。
高校数学への橋渡し|たすき掛けと因数定理の基本
中学数学の範囲をしっかり理解できたら、次は高校数学で登場する因数分解の方法にも触れておきましょう。
それぞれの基本的な考え方を押さえておくと、高校での学習をスムーズに進められます。
- たすき掛けが必要になる式の特徴
- たすき掛けの手順をステップごとに理解する
- 因数定理とは何か、高校数学での位置づけ
中学で学んだ基礎がそのまま高校につながっているため、ここで基本を固めておくことが大切です。
たすき掛けが必要な式とは?中学との違いを知ろう

中学で学ぶ因数分解の公式①は、x²の係数が1の場合に使えます。
しかし高校数学では「2x²+5x+3」のように、x²の係数が1でない式が登場します。このような式には公式①をそのまま使えないため、「たすき掛け」という方法が必要になります。
たすき掛けは高校数学Ⅰの範囲ですが、中学で因数分解の考え方をしっかり理解していれば、スムーズに習得できます。「x²の係数が1でないとき」という場面でたすき掛けを思い出す習慣をつけておきましょう。
たすき掛けの手順をステップごとに解説

たすき掛けは、acx²+(ad+bc)x+bd=(ax+b)(cx+d) という公式をもとにしています。
手順は以下の通りです。
- x²の係数(ac)を積として持つ2つの整数の組み合わせ(a・c)を書き出す
- 定数項(bd)を積として持つ2つの整数の組み合わせ(b・d)を書き出す
- 「斜め」に掛け算して足した値がxの係数(ad+bc)に一致する組み合わせを探す
- 正しい組み合わせが見つかったら、(ax+b)(cx+d) の形に書く
たとえば「2x²+5x+3」を例にすると、x²の係数2の組み合わせは「1と2」、定数項3の組み合わせは「1と3」です。たすき掛けで「1×3+2×1=5」が成立するので、答えは「(x+1)(2x+3)」となります。
最初は時間がかかっても、繰り返し練習することで感覚がつかめてきます。
因数定理とは?高校数学での因数分解の考え方
因数定理とは、多項式 f(x) に数値を代入した結果が 0 になるとき、その数値に対応する形の一次式が因数になる、という性質を表した定理です。
たとえば「f(x)=x³-6x²+11x-6」に対してf(1)を計算すると「1-6+11-6=0」となります。よってこの多項式は(x-1)を因数に持つことが分かり、筆算で割り算することで残りの因数を求められます。
中学で学ぶ基本的な因数分解とは考え方が異なりますが、「値を代入してみる」というアプローチが鍵になります。
因数分解を得意にするための学び方
解き方を理解することと、実際にテストで得点できることは別の話です。因数分解を本当の意味で「使える力」にするためには、学び方そのものも意識する必要があります。
ここでは以下の2つの観点から解説します。
- 公式は「使いながら」覚えるのが最短ルート
- つまずいたら「どこで詰まっているか」を整理する
正しい学び方で取り組むことで、同じ練習量でも身につき方が大きく変わります。
公式を「使いながら」覚えるのが最短ルート
因数分解の公式を最初から丸暗記しようとするのは、実は遠回りです。公式の形だけを覚えても、式を見たときにどれを使えばよいか判断できなければ意味がありません。おすすめは、公式を確認したらすぐに例題を解いてみることです。
「この形の式はこの公式」という感覚は、問題を解く経験の積み重ねによってしか身につきません。最初は公式を見ながら解いて構いません。繰り返すうちに、自然と頭に入ってきます。
「覚えてから解く」ではなく「解きながら覚える」という姿勢が、因数分解を得意にする近道です。
つまずいたら「どこで詰まっているか」を整理しよう
因数分解が解けないとき、多くの場合は「因数分解そのものが分からない」のではなく、その前の段階でつまずいていることがあります。
たとえば、共通因数の見つけ方が曖昧だったり、数の積と和の関係を整理できていなかったりすることが原因になりがちです。
解けない問題に出会ったときは「どのステップで手が止まったか」を言葉にしてみてください。
「共通因数を見つけるところまではできた」「公式を当てはめる数の組み合わせが分からない」など、つまずきの場所を特定できると、次に何を練習すればよいかが見えてきます。
一人で抱え込まずプロのサポートを活用しよう
「自分で考える力」を育てることは大切ですが、どれだけ考えても分からない問題を一人で抱え続けるのは、学習効率の面でもモチベーションの面でも得策ではありません。そんなときは、プロの力を借りることも学び方のひとつです。
創英ゼミナールでは、生徒一人ひとりのつまずきの場所に寄り添いながら、理解の流れを丁寧にサポートする指導を行っています。「どこで詰まっているか」を一緒に整理し、次のステップへ進むための学習環境を整えています。
指導方針や授業の雰囲気について気になる方は、ぜひ教室の詳細情報もご覧ください。
